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ウクライナ戦争難民は、世界の強制移住の危機を体現している

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01 Jul 2022 03:07:58 GMT9
01 Jul 2022 03:07:58 GMT9
  • UNHCRの2021年グローバル・トレンド・レポートでは、世界の避難民が1億人に達したことが明らかになった
  • ヨーロッパはウクライナから700万人の難民を受け入れる一方、中東やアフリカからは数百万人の難民を追い返している

エファレム・コッセイフィ

ニューヨーク:先月、国連は新たな厳しいマイルストーンを背景に「世界難民の日」を迎えた。戦争や迫害、暴力、人権侵害によって故郷を追われた人々の数は、現在1億人を超えている。

この数字は、先日発表された国連難民機関のグローバル・トレンド・レポートから得られた、多くの悲しむべき数字のひとつに過ぎない。

この報告書によると、シリア、ベネズエラ、アフガニスタン、南スーダン、ミャンマーの5カ国が、世界の避難民人口の3分の2以上を占めていることが明らかになっている。

自国内での移動を余儀なくされた人々、すなわち国内避難民(IDP)と呼ばれる人々が、強制避難民の大部分を占めている。シリアやイエメンをはじめ、アフガニスタン、エチオピア、コンゴ共和国、コロンビアは、世界最大の国内避難民を抱え続けている。

もし現在の紛争が解決されず、新たな紛争の勃発を防げなければ、21世紀は逃亡を余儀なくされる人々の数が増え、その選択肢がますます制限されることになると、国連は警鐘を鳴らしている。

世界各地の人口移動はその性質上非常に複雑になっており、援助機関は継続的かつ大規模な流出に対処するための、新しい方法を見つけるために奔走している。暴力だけでなく、世界的な貧富の格差が拡大し続ける中、人々は経済的不平等からも逃れようと移動している。

気象パターンの変化とそれに伴う干ばつ、洪水、自然災害によって、さらに多くの人々が避難している。ウクライナ戦争によって悪化した食料安全保障の危機は、今、新たな波となって押し寄せてきている。

アラブニュースが出席した最近の会議で、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のフィリッポ・グランディ高等弁務官は次のように述べた。「こうした流れの性質は非常に複雑だ。援助に関わる対応も複雑化し、組織化・管理するのが難しい。流入もその対応も悪しきものとする不誠実な政治家の操作にさらされており、難民受け入れは不可能だ。したがって実際の対応は、多くの場所で聞かれるように『国境を閉鎖して、人々を押し返せ』という主張に基づくものとなる」

世界の避難民の数は過去10年間毎年増加しており、2021年末には9000万人に迫り、これは2001年の2倍以上の数字になっている。難民の多くは、シリア、ベネズエラ、アフガニスタンからのものである。

また、エチオピア、ブルキナファソ、ナイジェリア、コンゴなどの国々で暴力や紛争の新たな波が押し寄せたことも、この数字の増加に拍車をかけた。

2020年3月2日、ギリシャ・レスボス島のモリア難民キャンプ付近で、衝突中の移民を拘束する機動隊員。(AFP)

ウクライナでの戦争は、第二次世界大戦以降、最も早く、そして最大級の避難民を生み出した。わずか4カ月で700万人近くのウクライナ人が国外に脱出し、12年間で600万人以上のシリア人が避難したシリア危機を上回った。

グランディ氏は、ウクライナの紛争に対する「非常に特別な」人道的対応を称賛している。しかし、2016年のシリア難民危機のピーク時に現在の職務を開始したイタリアの人道主義者である同氏は、2つの紛争の国際的な対応の違いを嘆いている。

「ウクライナやポーランド、EUで十分な資金援助を受けられたとしても、他の多くの状況ではそうはいかない。2020年末から2021年にかけてはエチオピアがそうだった。昨年の夏にはアフガニスタンの状況があった」とグランディ氏は述べ、シリア、南スーダン、パレスチナの危機が、膨れ上がる難民の数に拍車をかけていると付け加えた。

「バングラデシュからコロンビアまで、資金不足が非常に心配な支援活動が12件もある」と彼は述べた。「ウクライナだけが人道的対応を受けて、それで終わりではないというメッセージを強く訴え続けることが重要だ」

2015年、アレッポでの戦闘から逃れた絶望的なシリア難民の大群がヨーロッパの門を叩いたとき、グランディ氏はヨーロッパの指導者たちにこう言われたという。「もう満杯だ。もう誰も受け入れる余裕はない」

「40人ほど乗った船がシチリアに到着すると、誰がどれだけの人数を、どれだけの期間受け入れるかで、指導者たちが電話で口論になる。「そして今の状況だ。突然、6週間で700万人がやってきて、彼らが受け入れられるなんてことが起こり得るのだろうか?そう、それは起こった。問題はあったが、概して、彼らは手厚く、効果的に、保護されながら受け入れられてきたのだ」

「私も世間知らずではない。常にこのような状況ではないことも理解している。しかし、これは確かに重要な点を証明している。難民の流入や、自暴自棄になった人々が豊かな国の海岸や国境に到着することへの対応は、管理不可能なことではない。しかし、そこには政治的な意志が必要になるのだ」

移民を乗せたボートがジブラルタル海峡で座礁した。スペイン・グアルディア・シビル(治安警察)とサルバメント・マリティモ海上捜索救助隊が救助を行い、157人の移民が救出された。(AFP)

2015年にヨーロッパにたどり着いた130万人のシリア人亡命者に対するこうした政治的意志はほとんど存在せず、これらの難民は政府高官からさえ、しばしば暴言や憎悪を浴びせかけられた。

ハンガリーの首相であるヴィクトール・オルバン氏は、亡命希望者を「毒」や「イスラムの侵略者」と表現した。

「そのチャンスはない。我々はあなた方を送り返すつもりだ。この大陸は君たちの祖国ではない。君たちには君たちの祖国がある。ここは我々の祖国だ、我々が築いたのだ」とオルバン氏は2015年に発言している。

2015年にはまた、フランスの極右政治家マリーヌ・ルペン氏が難民の流入を蛮族のローマ侵攻に例え、イギリスのデービッド・キャメロン前首相は逃げる難民を「群れ」と呼び、当時のポーランド首相ヤロスワフ・カジンスキ氏は、移民は病気を持っていると非難した。

こうした難民・移民に対する態度は、2015年になっても捨てられなかったのだ。2020年には、イタリアの元副首相マッテオ・サルヴィーニ氏は、アフリカからの移民が結核や疥癬(かいせん)などの病気をイタリアに持ち込んでいると主張した。しかしながら、今年3月に行ったFacebookのライブ配信では、サルヴィーニ氏はウクライナの難民をイタリアに移送すると公約したのだ。

グランディ氏はこう語る。「もちろん、入ってくる人々があなたの仕事を奪い、安全を脅かし、価値観を破壊すると世論に叩き込めば、世論は移民に対して肯定的な感情は抱かないでしょう」

ヨーロッパの指導者たちがウクライナ人に対してそのようなレトリックを用いなかったことが、難民を求めてやってきた人々に対する世論をポジティブに傾けたと、グランディ氏は述べた。

2022年3月2日、自国の紛争から逃れたウクライナ人が、パリ北部のティレにあるパリ・ボーヴェ空港に到着。彼らのために設置された歓迎センターに集まる。(AFP)

「それがあるべき姿勢だ。建設的であれ。政治家がウクライナ人について伝えてきたメッセージを伝えるのだ。『彼らは困難の中にいる』というメッセージを」

「人々は恐れて逃げている。それはウクライナ人だけではない。シリア人は爆弾から逃げてきた。ティグライの人々は爆弾から逃れ、アフリカのサヘル地域の人々も爆弾や悪質な攻撃から逃げている。不安から逃げるのは、ウクライナ人であろうとニカラグア人であろうと変わらない。そして、そのメッセージを伝え続けることが重要なのだと私は考えている」

UNHCRの報告書は、難民危機は豊かな国、俗に言う北の国々にしか影響を与えないという一般的な認識を払拭した。実際、世界の難民の80%以上は、貧しい国や中所得国に逃れてきているのだ。

「コスタリカが受け入れている15万人のニカラグア人のことなど、誰も聞いたことがないだろう」とグランディ氏は言う。「それでも、コスタリカにとっては大きな問題なのだ」

欧米諸国の多くは、難民問題を自分たちが解決する義務のない問題だと考えている。たとえ多くの解決策が欧米とロシアの間の合意によって成り立っていたとしても、ウクライナ戦争の結果、これらの外交的関与はほぼ停止しているからだ。

「西側とロシア、そして安全保障理事会の主要国間の亀裂が国際協力に与えた傷は、癒えるまで長い時間がかかるだろう。そして、もしそれが癒されないのであれば、このような世界的な危機にどのように対処していけば良いのか私には分からない」とグランディ氏は述べた。

UEFAチャンピオンズリーググループE 1st Leg、バイエル・レバークーゼン対FC BATEボリソフ戦で「難民は帰れ」と書かれた横断幕を見せるボリソフのサポーター。(AFP/ファイル・写真)

国連の「難民の地位に関する1951年の条約」の前文では、難民とは自国の「保護と援助をもはや享受できない」人であり、したがってその対応は国際社会全体の責任であると定義されている。

「興味深いことがある」とグランディ氏は言う。「ドナー国は、対応に不公平があってはならないことをよく理解しているのだ」

同氏が語る、欧米の責任放棄を示す最近の例としては、おそらく英国の「ルワンダ・プラン」が最も適しているだろう。これは、英仏海峡を無許可で通過するすべての人をルワンダに移送し、処理しようとする計画である。

この計画によると、英国は、ルワンダ政府の「経済改革・統合基金」に出資し、各移民の移転と一時的な宿泊のための費用を提供するとのことだ。

「我々は、この取引を支持しない」とグランディ氏は述べた。「ウクライナ人に対する寛容さとは対照的で、明らかに間違っている」

「原則として、亡命希望者が国の領土にいる場合、彼らは保護を受ける権利がある。その国が条約に加盟している場合は特にそうだ。また、亡命者を受け入れるための制度を持っているのであれば、その責任を他国に押し付けることは、国際的な責任分担の考え方に反する」

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のフィリッポ・グランディ氏。(AFP/ファイル・写真)

さらに同氏はこう続けた。「英国は、危険な旅から人々を救うためにこれを行っていると言う。それは少し疑問だ。危険な旅から人々を救うのは素晴らしいことだ。しかし、それがこの取引を実現させる本当の動機なのだろうか?私はそうは思わない。そして、もし英国や他の国々が本当に危険な旅を止めさせたいのであれば、他の方法があるはずだ」

グランディ氏は、この計画は、「ルワンダに押し付けられた新しいゲームのルール」であると述べた。この国は、何万人ものコンゴ人とブルンジ人の難民を受け入れたにもかかわらず、難民認定を行う構造――英国では十分に整備されている構造――を持っていない。

「私はプリティ・パテル氏にこのことをはっきりと伝えた。この協定は、我々の仕事を非常に困難にするものであると」と、グランディ氏は英国内務大臣を指して言った。「このような前例は破滅的を招きかねない」

現在進行中の世界的な食料安全保障の危機が、より多くの人々を家から追い出すことになりそうかと尋ねられたグランディ氏は、そうならないようにするには「どうしたらいいのか想像もつかない」と述べた。

彼は、紛争の結果に対する援助を世界に呼びかけてはいるが、「問題は根本的に解決されなければならず、戦争は止められなければならない。交渉は再開しなければならない」と最後に述べた。

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