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国際社会が行動しなければ、パレスチナ人に対するイスラエルの暴力は終わらない=専門家談

アーメド・アブ・ジュナイド氏(21歳)の葬儀に銃を持って参加するパレスチナ人テロリスト2名。ヨルダン川西岸地区ナブルス県バラタ難民キャンプ、2023年1月12日。(AP)
アーメド・アブ・ジュナイド氏(21歳)の葬儀に銃を持って参加するパレスチナ人テロリスト2名。ヨルダン川西岸地区ナブルス県バラタ難民キャンプ、2023年1月12日。(AP)
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13 Jan 2023 06:01:41 GMT9
13 Jan 2023 06:01:41 GMT9
  • 1月12日の米国特使との会談にて、パレスチナ側はアメリカ政府に「イスラエル側の一方的措置と脅迫を終わらせるため至急行動するよう」強く要請した
  • 「米国はまだイスラエルに圧力をかけておらず、このままだとイスラエルは侵略をやめようという気を起こさない」と政治アナリストが語った

モハメッド・ナジブ

パレスチナ自治区ラマッラー: 国際社会の沈黙が「イスラエルの終わりなき犯罪・慣行・人種差別的法制度」を助長している、とパレスチナ当局が非難している。

パレスチナの医療関係者によると、ヨルダン川西岸地区では過去24時間に複数の衝突が発生し、イスラエル軍によりパレスチナ人3名が殺害されたという。

亡くなったのはエルサレム北部のカランディア難民キャンプで暮らしていたサミール・アスラン氏(41歳)、ナーブルス県バラタ難民キャンプのアーメド・アブ・ジュナイド氏(21歳)、ヘブロン近郊にあるサム町のサナド・サマムラ氏(18歳)。

パレスチナ保健省によると、アブ・ジュナイド氏はイスラエル軍の襲撃を受けた際に頭部を撃たれたという。

アスラン氏は身柄を拘束されていた。

難民キャンプへの大規模な奇襲攻撃が起きた際に逮捕される寸前だった息子のラムジ君を守ろうとしたからだ。

アスラン氏は出血していたがイスラエル軍は応急処置を受けさせなかった、と情報筋が語った。

「カランディア難民キャンプにある自宅でアスラン氏を処刑したという犯罪行為は、ファシスト・イスラエル占領軍が日常的に繰り返す犯罪のごく一部でしかない」とパレスチナ民族評議会(自治政府の国会に相当)のラウヒ・ファトゥー議長は述べた。

「占領軍は今年に入ってから、7名を処刑し、数十名を負傷させ、数多くの資産を破壊した。

「我々パレスチナ人とその生存を脅かすイスラエル占領軍の犯罪・慣行・人種差別的法制度に対し、国際社会は沈黙を保っている。

だからこそイスラエルは犯罪行為をやめず、国家として法を無視できるのだ。

イスラエルはあらゆる国際協定・決議・基本的人権尊重の原則に違反している」

イスラエル当局は今週、武力攻撃の実行またはパレスチナ自治政府から資金を得て攻撃に関与した容疑で告訴された、あらゆる囚人の公民権または居住権をはく奪することになると発表した。

「テロを実行するためパレスチナ自治政府から金銭を得たことが判明した市民または住民は、自らの意思で市民権または居住権を放棄したとみなされ、内務大臣がその地位をはく奪するものとする」と法案に書かれている。

パレスチナ指導部筋によると、米国政府は水面下でパレスチナ当局とイスラエル新政権との協議を進めているという。

脆弱なパレスチナ自治政府をさらに弱体化させかねない動きを抑えるためだ。

PLO(パレスチナ解放機構)執行委員会(自治政府の内閣に相当)のフセイン・アル・シェイク事務局長は1月12日、ラマッラーにてハディ・アムル米国特使(パレスチナ問題担当)と会談した。

会談でシェイク事務局長はこう強調した。「国際的に認められた『二国家解決』を維持する政治的地平が必要だ。さらにイスラエルはパレスチナ人に対する一方的措置や日常的攻撃を終了する必要がある。イスラエルの政策は二国家解決を破壊し、困難で複雑な雰囲気を作り出して安全と安定を害する行為だ」

パレスチナ自治政府のムハンマド・シュタイエ首相もアムル特使と会談し、アメリカ政府は「イスラエルによる一方的措置や脅迫を終わらせるため、速やかに行動する義務がある。

イスラエルの政策は自治政府の力を弱め、パレスチナ国家が樹立される可能性を組織的に絶とうとする行為だ」と語った。

シュタイエ首相は、米国のアントニー・ブリンケン国務長官とジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)が近日中に来訪する際、パレスチナ人に希望のメッセージを伝えるべきだと述べた。

さらにイスラエル政府に対し各違反行為や一方的措置を中止し、国際法や発効済み協定を尊重するよう求める、明確な声明を出すべきだと述べた。

さらにシュタイエ首相は、イスラエル政府にパレスチナ自治政府の代理で徴収している税金の一部送金差し止めを解除するよう、アメリカ当局が本気で圧力をかけるよう求めた。

「パレスチナ人と自治政府は、既成事実を絶対に受け入れない。イスラエルの措置に対抗して、民衆による政治的・外交的・法的闘争を前に進める」と付け加えた。

パレスチナ人政治アナリスト、ガッサン・アル・ハティブ氏はアラブニュースに対しこう述べた。「アメリカのジョー・バイデン政権は、東エルサレムにアメリカ領事館を開設するというパレスチナ人への約束を果たせませんでした。その一方で米国政府駐パレスチナ代表事務所に指示を出し、エルサレムのアメリカ大使館ではなく国務省に直接報告書を送るよう調整しました。

「米国はまだイスラエルに圧力をかけておらず、このままだとイスラエルは侵略をやめようという気など起こしません」

米国の政策は「イスラエルに対する脅しがないと、成果が得られません」と付け加えた。

もしアメリカが、パレスチナ自治政府を支援し、その崩壊を防ぎたいと真摯に望むなら「パレスチナ当局を財政面で支援し、イスラエルにパレスチナの税金を横取りしないよう圧力をかけられるでしょう」とアル・ハティブ氏は述べた。

アメリカ政府がアラブ友好諸国に対しパレスチナを財政面で支援するよう働きかけることも可能ではないか、と提案した。

「米国は、パレスチナ自治政府に対するイスラエルの侵略を軽減し、自治政府の存続を確保し、崩壊を防ぐ努力を何もしていません」とアル・ハティブ氏は述べた。

一方、イスラエル軍はヨルダン川西岸北部に新たな分離壁を建設するためコンクリートブロックを敷設開始した。

周辺の村落に暮らすパレスチナ人家族が、所有する何千エーカーもの農地を使えないようにしている。

イスラエルのベニー・ガンツ国防相は、高さ9mの分離壁建設を昨年11月に承認した。

長さは100kmに達するとみられ、建設作業が徐々に進んでいる。

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