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スーダン紛争にイスラム主義者が暗躍、軍事関係者が指摘

ハルツーム、ダルフールなどで、スーダン軍と準軍事組織は10週間にわたり戦闘を続けてきた。(ファイル/ロイター)
ハルツーム、ダルフールなどで、スーダン軍と準軍事組織は10週間にわたり戦闘を続けてきた。(ファイル/ロイター)
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28 Jun 2023 10:06:25 GMT9
28 Jun 2023 10:06:25 GMT9
  • 元諜報員が軍と共闘していることを情報筋が明かした
  • 2021年のクーデター以来、軍はバシール政権時代からの退役軍人に頼っている
  • 紛争では軍の将軍と元民兵組織のリーダーが対立している

ドバイ:かつてオマル・アル・バシール前大統領の下で情報工作員として働き、彼のイスラム主義運動とつながりのある千人以上の男らが、スーダン紛争で軍と共闘しており、流血沙汰の集結に向けた努力を困難なものにしている、と3人の軍事関係者と1人の諜報機関関係者が述べた。

アフリカで3番目に面積の広いスーダンでは、軍と準軍事組織がハルツームやダルフールなどで10週間も戦闘を続けており、250万人が避難し、人道危機を引き起こしており、地域の安定を脅かしている。どちらか一方が増援を受ければ、紛争はさらに激化する可能性がある。

バシール氏は、西側諸国から長い間敬遠されてきたイスラム主義者であり、2019年の民衆蜂起で倒れたが、即応支援部隊(RSF)は、軍が同氏の忠実な支持者に依存していると主張しており、軍はこれを長い間否定してきた。

本記事のためのロイターの質問に対し、軍高官は次のように述べた。「スーダン軍はいかなる政党やイデオローグとも関係がない、専門機関だ」

しかし、3人の軍事関係者と1人の諜報機関関係者によれば、千人以上のイスラム主義者が軍と共闘しているという。

「諜報機関のメンバー約6,000人が、紛争の数週間前に軍に加わった」と、軍の作戦に詳しい軍事関係者は匿名を条件に述べた。

「彼らは国を救うために戦っている」

国家情報安全保障局(NISS)の元幹部らは、この数値を追認している。NISSは、主にイスラム主義者で構成された強力な機関だったが、現在は解体されている。

スーダンでイスラム主義者が復権を果たせば、同地域における諸大国によるスーダン軍への対応が複雑なものとなり、文民統治への移行が妨げられ、最終的には、かつてアルカイダ創設者ウサマ・ビンラディンを擁したスーダンが、さらなる内紛と国際的孤立への道を歩むことになりかねない。

ロイターはこの記事のために、軍事・諜報機関関係者およびイスラム主義者数人を含む10人の情報筋に取材した。

イスラム主義者の関与を示す展開として、モハメッド・アル・ファドル氏というイスラム系組織戦闘員が今月、RSFと軍の衝突で死亡したことが、遺族やイスラム主義者より明らかにされた。彼は軍側で戦っていたという。

スーダンの主要イスラム系組織の事務局長アリ・カルティ氏は、アル・ファドル氏への哀悼の声明を送っている。

「我々のアイデンティティと宗教」

「我々は、外部の干渉から我が国を守り、我々のアイデンティティと宗教を守るために戦うとともに、軍を支援している」と、軍と共闘しているスラム主義者の一人は話した。

バシール政権当時の与党・国民会議は声明で、紛争とは無関係であり、軍の政治的な後ろ盾をしているだけだとしている。

軍は、RSFがイスラム主義者や旧体制の忠実派を軍トップに登用していると非難したが、RSFはこれを否定した。アブドゥルファッターフ・ブルハン将軍は、アナリストの見方では非イデオロギー的な軍人とされており、イスラム主義者が軍を支援しているという主張を公の場で否定している。彼は5月に投稿されたビデオで、歓声を上げる部隊に向かって「彼らはどこにいると言うんだ?」と叫んだ。

バシール政権下で数多くのイスラム主義将校を擁した軍は、数十年にわたってスーダンの支配的な勢力を維持してきた。その間、軍は、クーデターを起こし、内戦を戦い、財産を築くなどしてきた。

しかし、バシール政権打倒後、ブルハン将軍はこの地域でイスラム主義者に対抗してきた国々、特にアラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、エジプトと良好な関係を築いた。湾岸諸国はハルツームに多額の援助を提供した。

現在では、NISSの元将校らも、今回の紛争における敵の情報を収集することで軍を助けている。

NISSはバシール政権が倒された後、General Intelligence Service(GIS)に取って代わられ、憲法上の合意に従い、武装した「作戦」部隊を剥奪された。

同部隊出身者の大半は軍側についたが、バシール政権下で活動したメンバーやイスラム主義者の一部はRSFに入ったと、軍事関係者と諜報機関関係者のそれぞれ1人が明かした。

「我々は、過酷な現場で、特にRSFとその配備に関する情報を提供することで、軍を支援すべく活動している」とGIS関係者は語った。

バシール政権時代からの退役軍人

スーダン軍の人数は全国的にはRSFを上回っているが、アナリストによれば、僻地での以前の戦争を民兵組織に委託していたため、市街戦での戦闘能力はほとんどないという。委託先となった民兵の中には、ダルフールでの反乱を鎮圧した、RSFの前身「ジャンジャウィード」が含まれる。

高い機動力を持つRSFはハルツームの広範囲を占拠しており、今週は、中央予備警察の主要拠点を制圧した。中央予備警察は軍が首都での地上戦に投入していた戦力である。また、RSFは大量の武器も押収している。

一方で、主に空爆と重砲に頼ってきた軍は、RSF撲滅にあたって、何十年もかけて磨かれたGISの情報収集スキルの恩恵を受ける可能性がある。

6月7日、ハルツーム中心部の紛争地域にある諜報機関の拠点が複数火事に見舞われた。両陣営は相手側が建物を攻撃したと主張している。

2021年にブルハン将軍とRSFトップのモハメド・ハムダン・ダガロ司令官(通称ヘメッディ)がクーデターを起こし、民主政への移行が頓挫した後、ヘメディティはこの動きは間違いであるとし、イスラム主義者が権力掌握を狙うことを助長すると警告した。

同地域の大国であるサウジアラビアとUAEは、スーダンの民主政への移行を、彼らが脅威視する地域内のイスラム主義勢力に対抗する手立てと見なしていた。

軍は公的には、バシール氏を失脚させた2019年の民衆蜂起に対して、忠実な支持を表明してきた。

しかし、軍は、2021年にクーデターを起こし、大規模な街頭抗議デモが再燃すると、国の運営を維持するためにバシール政権時代の退役軍人に頼った。旧体制の解体に取り組んでいたタスクフォースは解散させられた。

紛争勃発前、バシール氏の支持者らは、民政移管に反対するロビー活動を行っていた。移管計画の下での軍の指揮系統と構造をめぐる争いが、紛争の引き金となった。

4月の紛争勃発から約1週間後、SNSに投稿された動画には、軍服を着た約10人の元諜報機関関係者が中央予備警察への所属を表明する様子が映されていた。

この動画はロイターが独自に検証したものではない。

4月下旬の戦闘の中、バシール政権に忠実な数人の幹部が、ナイル川を挟んでハルツーム中心部から離れたバハリの刑務所から釈放された。彼らの釈放に関する事情はまだ不明である。バシール氏は軍病院に入院している。

ロイター

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