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人権団体、スーダン軍と交戦するRSFによるダルフール地方での残虐行為の調査を要請

戦争で負傷し、西ダルフール州から逃れてきた人々を治療している国境なき医師団(MSF)チームのもとに集まるスーダン難民たち。2023年6月16日、チャドのアドレ病院。(ロイター)
戦争で負傷し、西ダルフール州から逃れてきた人々を治療している国境なき医師団(MSF)チームのもとに集まるスーダン難民たち。2023年6月16日、チャドのアドレ病院。(ロイター)
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12 Jul 2023 06:07:02 GMT9
12 Jul 2023 06:07:02 GMT9
  • ダルフール紛争は、長年差別を訴えてきたアフリカ系部族がスーダン政府に反旗を翻したことから始まった。スーダン政府は軍事作戦で対抗し、後に国際刑事裁判所(ICC)はこれがジェノサイドに相当すると発言した。

カイロ:著名な人権擁護団体は7月12日、スーダンの不安定なダルフール地方で起きている残虐行為を調査するよう国際刑事裁判所(ICC)に求めた。その虐殺行為の中には、5月にスーダンの準軍事組織とその同盟勢力であるアラブ系民兵が28人の非アラブ系部族民を「即決処刑」したことも含まれているという。

ニューヨークに本部を置く監視機関ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は5月28日、スーダンの準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」とその同盟勢力のメンバー数千人が、非アラブ系のマサリート族が暮らすダルフール地方の町ミステレイを襲撃したと発表した。

HRWによると、この武装勢力はマサリート族の男性たちを殺害し、数十人の民間人も死傷したという。この襲撃は、準軍事組織RSFとスーダン軍の間の数か月にわたる戦闘の最中に発生した。国連によると、この戦闘でスーダンは本格的な内戦の瀬戸際に立たされているという。

HRWの危機・紛争上級研究員ジャン・バティスト・ギャロパン氏は、「民間人の大量殺害とミステレイの町の全面破壊は、拡大するこの紛争に対してより強力な国際的対応が必要なことを示しています」と述べた。

HRWは、RSFは同団体が突き止めたこの残虐行為に関して直ちにコメントすることはないだろうと述べた。そして、ICCに対し、2000年代初頭に起きたダルフール地方での大量虐殺戦争に関する調査の一環として、ミステレイやダルフール地方の他の地域への攻撃についても調査するよう求めた。

ダルフール紛争は、長年差別を訴えてきたアフリカ系部族がスーダン政府に反旗を翻したことから始まった。スーダン政府は軍事作戦で対抗し、後に国際刑事裁判所(ICC)はこれがジェノサイドに相当すると発言した。

スーダン政府支援のアラブ系民兵組織「ジャンジャウィード」は、広範な殺人、強姦、その他の残虐行為で非難された。ジャンジャウィードは後に準軍事組織のRSFへと発展した。

RSFとスーダン軍との戦闘が4月中旬に勃発し、当初は首都ハルツームを中心に戦闘が繰り広げられた。その後、戦闘はスーダン全土に広がり、ダルフール地方では最も激しい戦闘が繰り広げられた。

HRWによると、オートバイやピックアップトラック、馬に乗ったRSF部隊とその同盟勢力であるアラブ民兵がミステレイを包囲し、マサリート族の戦闘員と衝突した。アサルトライフルや携行式ロケット弾、車載機関銃で武装したこの襲撃部隊は、男性たちをその自宅や路上、あるいは潜伏場所で殺害した。

また、この武装集団は町を焼き払う前に財産を略奪し、家畜や貴重品を盗んだという。そして、住民に向けて発砲し、さらに多くの人々を殺害する中、女性や子供を含む数千人の住民が避難した。

HRWは身元不明の76歳男性の話として、この武装集団が逃げ惑う人々に向けて発砲したと伝えた。「食料品店の近くで、3人の人が走って逃げ、銃撃され、地面に倒れるのを見ました」とこの男性は語った。

HRWによると、この武装集団は学校や地元のモスクに隠れていた人々も狙ったという。

人権団体は、少なくとも民間人40人の殺害が確認されたと発表した。地元当局者らは、5月28日に起きた襲撃で97人が死亡したと発表した。HRWによると、少なくとも59人が集団墓地に埋葬されたという。

衛星画像と火災検知データの分析から、数週間の期間に、ミステレイに加えて西ダルフール州の他の6つの町や村も焼き尽くされたことが判明した。西ダルフール州の州都エル・ジュナイナも、広範囲にわたり、明らかに意図的な火災被害を被っている、とHRWは伝えた。

また7月11日、国連世界食糧計画(WFP)は、ダルフール地方の住民が依然として暴力から逃れてチャドに流入しており、先週だけでも2万人以上の避難者がチャド国境の町アドレに渡ったと伝えた。

WFPは声明で、4月中旬以降、戦闘を逃れてチャドに渡った避難者の数は23万人を超え、帰還者の数は3万8000人に達した、と発表した。国連の統計によると、スーダンの近隣諸国に渡った70万人以上を含め、この紛争ではこれまで合計約300万人が避難している。

WFPによると、チャドに到着した避難者の多くが重傷を負っているという。逃亡する民間人は「暴力の民族的側面が強まっており」意図的に標的にされているとの複数の報告がある。

「人々は傷つき、恐怖を感じながら、手には子供だけを抱え、衣服を背負って、走って国境を越えています。彼らには安全、安心、そして人道支援が必要です」とWFPチャド事務所のピエール・オノラット所長は述べた。

到着した人々の多くは家族を失っており、「私たちは彼らに『男性たちはどこ?』とわざわざ尋ねることはしません。母親たちは、殺された、と答えることが多いのです」とオノラット氏は後にオンライン会見で語った。

チャド国境の町ゴズベイダにあるザバウト難民キャンプから会見に臨んだオノラット氏は、危険な状態の栄養失調の子供たちなど、避難者のニーズの増大に応えるために、財政支援が緊急に必要だと訴えた。WFPによると、スーダンから避難してきた子供達の少なくとも10人に1人が栄養失調に陥っているという。

オノラット氏は「毎週、栄養センターで子どもたちが命を落としています。これが現実です」と語り、WFPはチャドとスーダンの国境にいる避難者を助けるために毎月少なくとも1,300万ドルが必要だと付け加えた。

AP

 

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