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バイデン氏のサウジ訪問による米国のガソリンコスト削減の希望は「非現実的」である

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15 Jul 2022 02:07:25 GMT9
15 Jul 2022 02:07:25 GMT9
  • エネルギー価格は石油精製と地政学的要因によって左右されると専門家は指摘
  • 米国の指導者は、サウジアラビアとの重要な貿易協定と安全保障協定に再び焦点を当てる必要がある

レイ・ハナニア

シカゴ:ジョー・バイデン大統領は、間近に迫ったサウジアラビア訪問で米国のガソリン価格の引き下げを期待している。しかし、エネルギーコストは世界市場と政治的要因に左右されるため、これは非現実的であると専門家は指摘する。

ガソリン価格は過去4カ月で2倍になり、米経済を弱体化させている。この状況は、11月8日の中間選挙で上下両院の支配権を失う可能性のあるバイデン氏を苦しめている。

デイビッド・シェンカー元国務次官補(近東問題担当)とサウジアラビアのアナリストで研究者でもあるサルマン・アル・アンサーリ氏は、多くの人が期待しているように単に石油の生産を増やしても、精製能力に関する業界の限界とヨーロッパの地政学的要因から、そのコストを下げることはできない、と述べている。

シェンカー氏は次のように語った。「バイデン大統領が就任したとき、ガソリンは1ガロン2ドルだった。今、東海岸では1ガロン5ドルだ。彼は、サウジアラビアや湾岸諸国のパートナーであるUAE、クウェート、そしてカタールに、原油価格を下げるための増産を強く望んでいる。石油の生産能力、生産量には限界がある。しかし、我々の精製能力にも問題がある。これは彼の最重要課題だ」

「あと日量数十万バレルくらいは増産され、150万バレルくらいにはなるかもしれない。しかし、たとえ100万バレルや200万バレルが市場に出回ったとしても、米国の消費者が知るべき重要なポイントがある。それは、その石油が我々の手元に来るわけではなく、我々にとっては大きな違いがない、ということだ。石油は世界市場に流れる。さらに、サウジアラビアの人たちの話を聞いてみると――これは私がリヤドやダーランに行ったときの話だが――1カ月半前にサウジアラビアに行き、アラムコを訪問した際、彼らはこう言った……『もう少し増産はできるはずだが、生産が問題なのではない。問題は精製能力だ』と」

アル・アンサーリ氏もこれに同意し、次のように述べた。「サウジアラビアがもっと石油を生産する、などと考える人もいる。しかしサウジアラビアはOPEC+の協定を守っている。劇的なことは起きないだろう」

「また、エネルギー価格の高騰の問題は、石油の供給不足とは関係なく、ヨーロッパの地政学的緊張が影響している。ロシアがヨーロッパの石油需要の30%、ガス需要の40%を供給していることを忘れてはならない」

シェンカー氏は、バイデン氏は選挙期間中と大統領就任後の18カ月間を通して厳しく批判してきたサウジアラビアとの関係を「リセット」することを望んでいると述べている。

「バイデン氏はまた、サウジアラビアとの関係をリセットしようとしている。サウジアラビアとの関係は基本的には、意図的に停滞させられていた」とシェンカー氏は述べた。

サウジアラビアと米国の関係は、76年前にフランクリン・デラノ・ルーズベルト大統領とアブドル・アジーズ・イブン・サウード国王との会談で始まって以来、両国にとって生産的であったとアル・アンサーリ氏は説明する。

「この関係は76年以上、つまり約80年間続いている。国務省のブリンケン長官の言葉を引用すると、米国とサウジアラビアの関係は重要であり、個人よりも大きなものである、と言っている。この相互利益の関係の重要性は、両者とも理解しているだろう。サウジアラビアは、米国にとって中東で最大の貿易相手国であると考えられている」とアル・アンサーリ氏は語った。

「サウジアラビアに関して言えば、米国は2番目に大きな貿易相手国だと考えられている。また、世界的に見ても、サウジアラビアは米国にとって12番目に大きな貿易相手国であると考えられている……つまり、我々は非常に重要な関係について話しているのだ。サウジアラビアはアラブ・イスラム世界の中心であり、心臓部であるという事実も忘れてはならない。アラブ・イスラム世界のいかなる問題も、サウジアラビアの関与なしには基本的に解決できないし、サウジアラビアはこの関係の始まりから大きく関与してきたのだ」

サウジアラビアは、石油コストの劇的な変動を抑えるだけでなく、過激派の台頭にも立ち向かう姿勢においても、米国と西側諸国にとって、信頼できるパートナーである、とアル・アンサーリ氏は付け加えた。

「サウジアラビアと米国のパートナーシップには、歴史上3つの柱が存在する。1つ目は、米国に石油を安く売ることであり、これは米国が現在のような状態であるために、非常に重要かつ不可欠なことである」とアル・アンサーリ氏は語る。

「そして次の柱は、中東や世界におけるマルクス主義、社会主義、共産主義の教義の浸透を阻むことだ。そしてサウジアラビアは、米国と協力して共産主義に対抗した。そして3つ目の柱は、テロ対策だ。そして忘れてはならないのは、サウジアラビアはその最大の被害者であり、アルカイダやダーイシュによるテロ攻撃のほとんどを受ける側であったという事実だ。サウジアラビアはアルカイダから60以上のテロ攻撃を受け、ダーイシュからは35以上のテロ攻撃を受けた。そしてサウジアラビアは米国と協力して、イエメンやイラク、シリアなど様々な場所からダーイシュとアルカイダを消滅させたのだ」

ラジオのインタビューの中で、シェンカー氏、アル・アンサーリ氏の両氏は、イランとの対決は、バイデン氏が取り組まなければならない重要な問題であると述べた。また、パレスチナとイスラエルの膠着状態について、大きな打開策は期待できないとも述べている。

レイ・ハナニア・ショーは、毎週水曜日、東部標準時(EST)午後5時に、オハイオ州の一部を含むグレーター・デトロイトのWNZK690AMラジオと、バージニア州とメリーランド州の一部を含むワシントンDCのWDMV700AMラジオで生放送されている。この番組は、デトロイトでは毎週木曜日のEST午前7時にWNZK690AMで、シカゴではEST正午12時にWNWI1080AMで再放送されている。

ラジオ番組のポッドキャストは、 www.arabnews.com/RayRadioShow で聞くことができる。

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